メタルギアソリッドシリーズ:壮大なサーガの歴史と物語の全貌
1987年の第一作発売以来、緻密なストーリーと革新的なゲーム性で世界中のファンを魅了し続ける「メタルギアソリッド」シリーズ。その物語は、冷戦時代から近未来まで、半世紀以上にわたる壮大なスケールで描かれます。ここでは、シリーズの歴史、物語の時系列、そして各作品で描かれる重大な事件や登場人物を詳しく解説します。
- シリーズの歴史(発売順)
- 物語の時系列と各作品のあらすじ
- 1964年:伝説の始まり【メタルギアソリッド3 スネークイーター】
- 1974年:国境なき軍隊の誕生【メタルギアソリッド ピースウォーカー】
- 1975年 – 1984年:英雄の堕天とファントムの誕生【メタルギアソリッドV】
- 1995年:アウターヘブン蜂起【メタルギア】
- 1999年:ザンジバーランド騒乱【メタルギア2 ソリッドスネーク】
- 2005年:シャドー・モセス島事件【メタルギアソリッド】
- 2007-2009年:情報社会の欺瞞【メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ】
- 2014年:英雄の最後の戦い【メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット】
- 2018年:受け継がれる意志【メタルギア ライジング リベンジェンス】
シリーズの歴史(発売順)
まずは、本シリーズがどのように世に送り出されてきたかを発売順にご紹介します。
発売年 | タイトル | プラットフォーム |
---|---|---|
1987年 | メタルギア | MSX2 |
1990年 | メタルギア2 ソリッドスネーク | MSX2 |
1998年 | メタルギアソリッド | PlayStation |
2001年 | メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ | PlayStation 2 |
2004年 | メタルギアソリッド3 スネークイーター | PlayStation 2 |
2006年 | メタルギアソリッド ポータブル・オプス | PlayStation Portable |
2008年 | メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット | PlayStation 3 |
2010年 | メタルギアソリッド ピースウォーカー | PlayStation Portable |
2013年 | メタルギア ライジング リベンジェンス | PlayStation 3, Xbox 360 |
2014年 | メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ | PS3, PS4, Xbox 360, Xbox One |
2015年 | メタルギアソリッドV ファントムペイン | PS3, PS4, Xbox 360, Xbox One, PC |
物語の時系列と各作品のあらすじ
物語の時系列は、作品の発売順とは大きく異なります。ここでは、物語の年代順に各作品の出来事を追っていきます。
1964年:伝説の始まり【メタルギアソリッド3 スネークイーター】

舞台は冷戦下のソ連。全ての物語はここから始まった。
大きな事件・イベント:バーチャスミッションとスネークイーター作戦
CIAの特殊部隊「FOX」に所属する工作員、コードネーム「ネイキッド・スネーク」は、ソ連の兵器開発者ソコロフの亡命を支援する「バーチャスミッション」に赴く。しかし、スネークの恩師であり、伝説の兵士と謳われた「ザ・ボス」の裏切りにより作戦は失敗。ザ・ボスはソ連のヴォルギン大佐側に亡命し、アメリカ製の小型核弾頭が発射され、米ソ間の緊張は一触即発の状態に陥る。自らの潔白を証明するため、アメリカ政府はスネークに「スネークイーター作戦」を指令。その内容は、ヴォルギン大佐の打倒、彼が開発を進める核搭載戦車「シャゴホッド」の破壊、そして亡命したザ・ボスの抹殺だった。
主要登場人物
- ネイキッド・スネーク(後のビッグボス): 本作の主人公。この作戦の成功により、アメリカ政府から「ビッグボス」の称号を授与される。
- ザ・ボス: 伝説の女性兵士であり、スネークの師。彼女の亡命の裏には、国家の思惑が絡んだ悲しい真実が隠されていた。
- オセロット(後のリボルバー・オセロット): ソ連のGRUに所属する若き少佐。スネークをライバルとみなし、シリーズ全体を通して重要な役割を果たす。
- EVA: KGBのスパイを装う中国の二重スパイ。「賢者の遺産」を狙う。
- ゼロ少佐(後のサイファー): 特殊部隊「FOX」の司令官。後に「愛国者達」を創設する。
1974年:国境なき軍隊の誕生【メタルギアソリッド ピースウォーカー】

ビッグボスは、ザ・ボスの遺志を追い求め、自らの軍隊を創設する。
大きな事件・イベント:ピースウォーカー事件
「スネークイーター作戦」から10年後。ビッグボスは同志「カズヒラ・ミラー」と共に「国境なき軍隊(MSF)」を設立。コスタリカで、AIによって制御され自律的に核報復を行う無人兵器「ピースウォーカー」の脅威に立ち向かう。この事件の裏では、ビッグボスのかつての上官であるゼロ(サイファー)が暗躍していた。
主要登場人物
- ビッグボス(スネーク): MSFの総司令官。アウターヘブン構想の原型を築き始める。
- カズヒラ・ミラー: MSFの副司令官。組織の運営を担う現実主義者。
- パス・オルテガ・アンドラーデ: 平和を愛する学生。その正体は、ゼロ(サイファー)の密命を受けたスパイだった。
- ヒューイ・エメリッヒ: ピースウォーカーの開発に携わった科学者。後のオタコンの父親。
- ストレンジラブ博士: ザ・ボスの思考をAI化するために研究を続ける科学者。
1975年 – 1984年:英雄の堕天とファントムの誕生【メタルギアソリッドV】


復讐、そして偽りの伝説。ビッグボスの最も暗い時代が描かれる。
大きな事件・イベント:マザーベース壊滅とヴェノム・スネークの覚醒
【グラウンド・ゼロズ (1975年)】 ビッグボスは、MSFに潜入していたスパイ「パス」らを救出に向かうが、それは罠だった。謎の部隊「XOF」の襲撃によりMSFのマザーベースは壊滅し、ビッグボスも重傷を負い昏睡状態に陥る。
【ファントムペイン (1984年)】 9年後、目覚めたビッグボスは「ヴェノム・スネーク」として復活。相棒ミラーと共に新たな私設軍隊「ダイアモンド・ドッグズ」を設立し、XOFの指揮官「スカルフェイス」への復讐を誓う。しかし、物語の果てに、彼が本物のビッグボスではなく、影武者として作られた「ファントム(幻影)」であったという衝撃の真実が明かされる。
主要登場人物
- ヴェノム・スネーク: 本作の主人公。ビッグボスの影武者(ファントム)。
- ビッグボス(本物): ヴェノムを影武者に立て、世界を欺きながら真のアウターヘブンを創設するために暗躍する。
- カズヒラ・ミラー: 復讐に燃えるダイアモンド・ドッグズの副官。
- リボルバー・オセロット: ビッグボスに忠誠を誓い、彼の計画をサポートする。
- クワイエット: 言葉を発しない恐るべき能力を持つ女性スナイパー。
- スカルフェイス: XOFの指揮官。ゼロ少佐への復讐を目論む。
- イーライ(後のリキッド・スネーク): ビッグボスのクローンの一人。父親への強い憎悪を抱いている。
1995年:アウターヘブン蜂起【メタルギア】
伝説の英雄ソリッド・スネーク、最初の任務。
大きな事件・イベント:アウターヘブン蜂起
南アフリカに現れた武装要塞国家「アウターヘブン」。彼らが開発した核搭載二足歩行戦車「メタルギア」の脅威に対し、特殊部隊「FOXHOUND」の新人隊員ソリッド・スネークが単身潜入する。しかし、このアウターヘブンを率いていたのは、作戦の指揮官であるFOXHOUND総司令官、ビッグボスその人であった。スネークは自らの手で、父とも言うべき存在を倒し、アウターヘブンを陥落させる。
主要登場人物
- ソリッド・スネーク: 本作の主人公。ビッグボスのクローンの一人とは知らずに、彼と対決する運命を辿る。
- ビッグボス: FOXHOUND総司令官であり、アウターヘブンの首領。兵士だけの楽園を築こうとするが、自らが送り込んだスネークによって野望を砕かれる。
1999年:ザンジバーランド騒乱【メタルギア2 ソリッドスネーク】
再び立ち上がるビッグボス。スネークとの因縁の対決。
大きな事件・イベント:ザンジバーランド騒乱
生きていたビッグボスは、中央アジアに武装要塞国家「ザンジバーランド」を建国。再び世界を核の恐怖に陥れる。FOXHOUNDを引退していたソリッド・スネークは召集され、再びビッグボスと対峙する。スネークはビッグボスを倒し、彼の野望に終止符を打ったかに見えた。
主要登場人物
- ソリッド・スネーク: 伝説の英雄として再び戦場に戻る。この戦いで、ビッグボスとの因縁に一つの決着をつける。
- ビッグボス: ザンジバーランドの首領。OILIXと核で世界を支配しようとするが、再びソリッド・スネークに敗れる。
- グレイ・フォックス: かつてのスネークの戦友。ザンジバーランド側につき、サイボーグとなってスネークの前に立ちはだかる。
2005年:シャドー・モセス島事件【メタルギアソリッド】

遺伝子(GENE)を巡る戦い。3Dステルスアクションの金字塔。
大きな事件・イベント:シャドー・モセス島事件
アラスカのシャドー・モセス島が、ソリッド・スネークと瓜二つの男「リキッド・スネーク」率いる叛乱部隊に占拠される。彼らは新型メタルギア「REX」を盾に、アメリカ政府にビッグボスの遺体を要求。隠遁生活を送っていたソリッド・スネークは、再び単身潜入任務に就く。この事件を通して、スネークは自らがビッグボスのクローンであるという衝撃の事実、「恐るべき子供達計画」の真相を知ることになる。
主要登場人物
- ソリッド・スネーク: 老化を早めるように遺伝子操作されたビッグボスのクローン。
- リキッド・スネーク: スネークの双子の兄弟。自らを「劣性」の遺伝子を受け継いだと思い込み、スネークに強烈な憎悪を抱く。
- ハル・エメリッヒ(オタコン): メタルギアREXの開発者。スネークの生涯の友となる。
- メリル・シルバーバーグ: キャンベルの姪(実際は娘)。島に配属された新兵で、スネークと共に戦う。
- サイボーグ忍者(グレイ・フォックス): 肉体を失いサイボーグとして復活したグレイ・フォックス。
- リボルバー・オセロット: リキッド側に付きながらも、裏ではある目的のために暗躍する。
2007-2009年:情報社会の欺瞞【メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ】

主役交代、そして「愛国者達」の存在が明らかになる衝撃作。
大きな事件・イベント:タンカー沈没事件とビッグ・シェル占拠事件
【タンカー編 (2007年)】 ソリッド・スネークは新型メタルギア「RAY」を追うが、オセロットに強奪され、タンカーは沈没。スネークは死亡したと公表される。
【プラント編 (2009年)】 海上プラント「ビッグ・シェル」がテロリストに占拠される。新生FOXHOUNDの隊員「雷電」が潜入するが、この事件全体が、世界を情報で支配する謎の組織「愛国者達」によって仕組まれた壮大な演習(S3計画)であったことが判明する。
主要登場人物
- 雷電(ジャック): 本作の主人公(プラント編)。愛国者達に操られながらも、自らの意志で戦う道を選ぶ。
- ソリッド・スネーク: 生き延びており、偽名を使ってビッグ・シェルに潜入。雷電を導く。
- ソリダス・スネーク(ジョージ・シアーズ): ビッグボスの完全なクローンであり、元アメリカ大統領。「愛国者達」からの解放を目指す。
- リボルバー・オセロット(リキッド・オセロット): リキッド・スネークの人格に乗っ取られたかのように振る舞い、愛国者達を欺きながら暗躍を続ける。
- オルガ・ゴルルコビッチ: タンカーを襲撃した私兵部隊のリーダー。後に雷電を助けるサイボーグ忍者として現れる。
- 愛国者達: ゼロ少佐が創設した組織の成れの果て。デジタル情報によって世界を統制しようとする実体のないAI群。
2014年:英雄の最後の戦い【メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット】

戦争が経済となった世界で、老いた英雄は最後の戦場へ向かう。
大きな事件・イベント:ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件
世界はナノマシンによって兵士や兵器が管理される「戦争経済」によって成り立っていた。このシステム「SOP」を支配しているのは「愛国者達」のAIネットワーク。リキッド・オセロットは、このSOPの掌握と、愛国者達の完全な破壊を目論み蜂起する。一方、急激な老化によりオールド・スネークとなったソリッド・スネークは、リキッドを止めるため最後の任務に就く。戦いの末、愛国者達のAIは破壊され、世界は管理から解放される。そして、死んだと思われていたビッグボスがスネークの前に現れ、全ての真相を語り、ゼロの生命維持装置を止めることで、賢者達の時代から続いた因縁に終止符を打った。
主要登場人物
- オールド・スネーク: 急激な老化に苦しみながらも、最後の使命を果たすために戦う。
- リキッド・オセロット: 愛国者達を欺くためにリキッドの人格を演じ続けたオセロット。彼の真の目的は、ビッグボスをAIの支配から解放することだった。
- 雷電: 愛国者達に囚われ、サイボーグ化された姿で再登場。スネークを助けるために奮闘する。
- ビッグ・ボス: 愛国者達によって仮死状態にされていたが、システムの崩壊と共に復活。スネークと和解し、全ての物語を締めくくる。
- ドレビン: 兵器を洗浄(IDロックを解除)する「武器洗浄人」。スネークに協力する。
- サニー: オルガの娘。オタコンに保護され、天才的なプログラマーとして成長。愛国者達のAIを破壊するウイルスを作成する。
2018年:受け継がれる意志【メタルギア ライジング リベンジェンス】
本編のその後を描く、ハイスピードアクション。
大きな事件・イベント
「ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件」から4年後。サイボーグ技術が飛躍的に発展した世界で、雷電は民間警備会社に所属し、要人警護の任務に就いていた。しかし、謎のサイボーグ集団の襲撃を受け、任務は失敗。自らも強化手術を受け、悪を断つ「活人剣」を振るう存在として、サイボーグ犯罪やテロの背後にある巨大な陰謀に立ち向かっていく。この物語は、ソリッド・スネークの戦いが終わった後の世界で、次世代がどのように生きていくかを描いている。
主要登場人物
- 雷電: 本作の主人公。より強力な戦闘用サイボーグとして、自らの信じる正義のために戦う。
- サムエル・ホドリゲス: 雷電のライバルとなる凄腕の剣士。
- アームストロング上院議員: 事件の黒幕。歪んだ愛国心を持ち、力による理想郷の実現を目論む。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
これからシリーズをプレイされる方は、ぜひこの物語の重みを噛み締めながら楽しんでみてください。すでにプレイ済みの方は、新たな発見があったかもしれませんね。