色褪せない旅の記憶―正義を貫くRPG『テイルズオブヴェスペリア』
「JRPGの名作をおしえて」という問いに、多くのゲーマーがその名を挙げるであろう一本のゲームがあります。それが、『テイルズ オブ ヴェスペリア』です。
2008年の初登場から十数年。2019年には追加要素をすべて収録した『テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』(海外ではDEFINITIVE EDITION)として現行機に蘇り、今なお多くのファンに愛され、新規プレイヤーを魅了し続けています。
しかし、なぜこの作品はこれほどまでに「傑作」と語り継がれるのでしょうか?
この記事では、「ヴェスペリアって今からプレイしても面白いの?」という疑問に答えつつ、その色褪せない魅力の正体を、物語、キャラクター、そして戦闘システムを見ていきます。
『テイルズ オブ ヴェスペリア』とは?― “正義”を貫くRPGの金字塔
『テイルズ オブ ヴェスペリア』は、2008年にXbox 360で発売され、その後追加要素を加えたPS3版を経て、現在は『REMASTER』としてNintendo Switch, PlayStation 4, Xbox One, PC(Steam)でプレイ可能なRPGです。

物語の舞台は、魔物から人々を守る結界魔導器(ブラスティア)によって文明が維持される世界「テルカ・リュミレース」。下町で便利屋を営む青年ユーリが、水道魔導器(アクエブラスティア)の魔核(コア)を盗んだ犯人を追うという、小さな事件から壮大な冒険へと身を投じていく物語です。
本作を貫く最大のテーマは「“正義”を貫き通すことの大切さ」。それぞれのキャラクターが抱く多様な「正義」が、時に交差し、時に激しく衝突する人間ドラマが、本作を単なるファンタジーRPGではない、深みのある作品へと昇華させています。
色褪せない魅力①:JRPG史に残る主人公「ユーリ・ローウェル」

本作が傑作と評される最大の理由。それは、主人公「ユーリ・ローウェル」の圧倒的な魅力にあります。
多くのJRPGが若く未熟な少年を主人公に据える中、ユーリは21歳のシニカルで皮肉屋な青年。一度は騎士団に所属したものの、法で裁けぬ悪や貴族社会の欺瞞に嫌気がさし、自分の信じる「正義」を己のルールで貫く道を選びます。
- 行動力と決断力:悩むよりもまず行動。時には法を逸脱してでも、己の「正義」のために手を汚すことを厭わない。
- 仲間想いな一面:普段の飄々とした態度の裏で、仲間や弱者を守るという強い信念を持つ。そのギャップが魅力的。
彼の存在は、プレイヤーに「もし自分ならどうするか?」という問いを投げかけます。彼の選ぶ道は、決して誰もが賞賛する「正義」ではないかもしれません。しかし、その覚悟と信念に満ちた生き様が、多くのプレイヤーの心を掴んで離さないのです。

もちろん、おてんばなヒロイン・エステル、相棒の犬・ラピード、そして法の下での正義を信じるユーリの親友・フレンといった、個性豊かな仲間たちとの絆や対立も、物語に一層の深みを与えています。
色褪せない魅力②:王道にして深い、貫く“正義”の物語
本作のストーリーは、一見すると「世界を救う」という王道の筋書きです。しかし、その道中で描かれるのは、単純な善悪二元論ではありません。

帝国、ギルド、様々な種族…それぞれの立場にそれぞれの「正義」があり、プレイヤーは旅を通してその多様な価値観に触れることになります。特に、法と秩序を重んじるフレンと、法では届かない悪を断罪するユーリという、二人の主人公の対照的な正義の形は、物語の核心を成すテーマです。
「本当の正義とは何か?」
壮大な冒険の果てに彼らが見つけ出す答えは、きっとあなたの心にも深く刻まれるはずです。
色褪せない魅力③:爽快かつ戦略的!完成されたアクションバトル

『テイルズ オブ』シリーズの魅力といえば、アクション性の高い戦闘システム。本作のバトルはシリーズの中でも特に評価が高く、その面白さは今プレイしても全く色褪せません。
- 爽快なコンボ:通常攻撃から様々な「術技(アーツ)」へ流れるように繋げるコンボが爽快!
- オーバーリミッツ:ゲージを消費して一定時間パワーアップ!術技の詠唱時間が無くなったり、強力な「秘奥義」を発動できたりします。
- フェイタルストライク:特定の条件を満たすと敵を一撃で葬り去れる必殺の一撃!決まった時の爽快感は格別です。



操作は直感的でアクションが苦手な人でも楽しめますが、敵の弱点を突いたり、コンボを工夫したりと、やり込むほどに戦略の奥深さに気づかされるでしょう。この「とっつきやすさ」と「奥深さ」のバランスが絶妙なのです。
今プレイするならこれ一択!『REMASTER』版の価値
現在、本作をプレイするなら『テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』一択です。このバージョンは、当時海外では発売されなかったPS3版の追加要素をすべて含んだ、まさに「完全版」だからです。


- 新パーティキャラクターの追加:ユーリのライバル「フレン・シーフォ」が本編を通してプレイアブルに!さらに、快活な海賊少女「パティ・フルール」も仲間になります。
- ストーリーの追加とフルボイス化:メインシナリオの追加や、これまでボイスのなかったイベントシーンのフルボイス化により、物語への没入感が格段に向上しています。
- 新たな術技、ボス、やり込み要素:戦闘や探索をさらに楽しくする要素が多数追加されています。
- グラフィックのHD化:元々評価の高かったアニメ調のグラフィックが、さらに美しくなっています。
まとめ:今こそプレイすべき、JRPGの“正義”がここにある
『テイルズ オブ ヴェスペリア』がなぜ傑作と呼ばれるのか。その答えは、
- JRPGの常識を打ち破った、成熟した主人公ユーリ・ローウェルの圧倒的な存在感
- 「正義とは何か」をプレイヤーに問いかける、深く、心に残る物語
- 爽快感と戦略性を両立させた、完成度の高いアクションバトル
これらの要素が、奇跡的なバランスで融合しているからに他なりません。
もしあなたが、心震えるような物語と、魅力的なキャラクターたちとの冒険を求めているなら。そして、時間が経っても色褪せない「本物の名作」に触れたいと願うなら。
『テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』は、その答えをきっとあなたに示してくれるはずです。JRPGの歴史に刻まれた“正義”の物語を、この機会にぜひ体験してみてください。
みんなの反応・思い出
- 「ユーリほどカッコいいJRPG主人公は後にも先にもいない。法で裁けない悪を自らの手で裁くシーンは、子供心に衝撃だったし、彼の“正義”を本気で考えさせられた。最高の思い出。」
- 「初めて秘奥義『漸毅狼影陣』を撃てた時の鳥肌、今でも覚えてる。フリーランで敵の攻撃を避けて、コンボ叩き込んで、オーバーリミッツからの秘奥義!あの爽快感はヴェスペリアだけ。戦闘が本当に楽しかった。」
- 「リタの術の掛け声が大好きだったw スキットでのユーリとフレンのやり取りとか、パーティの仲の良さが本当に良かったんだよな。ラピードにサングラス付けたりして遊んだのも良い思い出。」
- 「リマスター版で初めてプレイしたけど、これが10年以上前のゲームとか信じられない。ストーリーもキャラも最高。特にフレンがずっと仲間として使えるのが嬉しかった。最初からこの完全版で遊べて本当に幸せだった。」
- 「ヴェスペリアの思い出は、やっぱりユーリとフレンの“正義”の対立に尽きる。どっちが正しいとかじゃなくて、どっちの正義も理解できるからこそ見ていて苦しくも、面白かった。大人になってからやるとまた違った見方ができる。」
- 「OPのBONNIE PINK『鐘を鳴らして』を聴くと、今でも夏休みに胸を躍らせながらヴェスペリアを起動した日のことを思い出す。あの広大なフィールドを初めて歩いた時のワクワク感は、一生忘れない宝物。」
- 「いろんなRPGやったけど、パーティメンバーに『パイプを咥えた犬』がいるのはヴェスペリアだけ!ラピードが普通に戦闘に参加して、短剣くわえて戦う姿が可愛くて最高だった。彼がいるだけでこのゲームは特別。」
