これは、誰も倒さなくていいRPG。あなたの“ケツイ”が試される物語。

もし、あなたがプレイするRPGのモンスターたちが、ただの経験値稼ぎの標的ではなく、それぞれに生活や感情、夢を持つ隣人だったら――?
今回ご紹介するのは、インディーゲームの歴史にその名を刻んだ不朽の名作、Toby Fox氏開発による『UNDERTALE』です。
「誰も殺す必要のないRPG」というキャッチコピーを掲げた本作は、ドット絵で描かれた温かみのある見た目とは裏腹に、プレイヤーの価値観を根底から揺さぶる、深く鋭いテーマを秘めています。
この記事では、なぜ『UNDERTALE』がこれほどまでに世界中の人々を魅了し続けるのか、その核心に迫ります。(※最高の体験のため、この記事を読んだら、何も調べずにプレイすることを強くお勧めします!)
物語の始まり:モンスターたちの世界に落ちた、一人のニンゲン

むかしむかし、人間とモンスターは戦争をしていました。戦いに敗れたモンスターたちは、魔法の力によって地下の世界に封印されてしまいます。
そして現代。一人のニンゲンの子供が、その地下世界へと落ちてしまうところから物語は始まります。

地上へ帰るため、あなたはモンスターたちの住む世界を冒険することに。そこで出会うのは、ちょっぴり(?)変わっているけれど、どこか憎めないユニークなモンスターたち。果たしてあなたは、彼らとどう向き合っていくのでしょうか。
UNDERTALEがプレイヤーの”心”を掴んで離さない3つの理由
1. 「たたかう」か「みのがす」か。全てが変化する“革新的な選択”
本作の戦闘は、弾幕シューティングのような敵の攻撃を、あなたのタマシイ(ハート)を操作して避ける独特のシステム。しかし、最大の特徴は攻撃の後です。

あなたは敵を「たたかう」で倒すこともできれば、「こうどう」を選んで相手を観察し、ジョークを言ったり、なでたり、励ましたりして「みのがす」こともできます。

この選択は、単なるプレイスタイルの違いではありません。あなたがモンスターにとった行動の一つ一つが、物語の根幹を大きく、そして不可逆的に変えていきます。
安易に手に入れたEXP(経験値)が、後に全く違う意味を持ってあなたにのしかかってくることを、心に留めておいてください。
2. 全員が主人公!愛さずにはいられないキャラクターたち

『UNDERTALE』に登場するモンスターは、誰一人としてモブキャラクターではありません。
ジョーク好きなスケルトンの「サンズ」、人間を捕まえたい純粋な「パピルス」、優しくも厳しいお母さんのような「トリエル」、正義感あふれる熱血ヒーロー「アンダイン」…。

彼らは皆、あなたというニンゲンに興味を持ち、関わろうとしてきます。彼らとの交流は時に笑いにあふれ、時に涙を誘い、このゲームを忘れられない体験へと昇華させます。
そして覚えておいてください。彼らは、あなたがしたことを決して忘れません。良いことも、悪いことも…。
3. 物語と完全にシンクロする“魂のサウンドトラック”

開発者のToby Fox氏が自ら作曲した音楽は、本作のもう一人の主人公と言っても過言ではありません。
心躍るフィールド曲、緊張感あふれる戦闘曲、キャラクターの心情を見事に表現したテーマ曲。そのどれもが驚くほどキャッチーで、プレイヤーの感情を揺さぶります。
ゲームを進めていくと、あなたはこの世界の“秘密”に気づき始めるでしょう。その時、この素晴らしい音楽と巧みな演出が組み合わさることで生まれる感動は、きっとあなたのゲーム史に深く刻まれるはずです。
まとめ:その結末は、あなた自身の物語

『UNDERTALE』は、ただクリアするだけのゲームではありません。モンスターたちと触れ合い、この世界の真実を知り、そして自分自身の行動の結果と向き合う“体験”そのものです。
これから地下世界へ旅立つあなたへ、一つだけ。
あなたの最初の冒険は、たった一度きりです。どうか、あなたの“ケツイ”を大切にしてください。
ゲームの思い出
- 最初のフラウィの「親切な」言葉に騙されかけ、トリエルに助けてもらった時の絶対的な安心感。
- パピルスのあまりにも純粋なパズルと「人間を捕獲したい」という熱意に、すっかり絆されてしまったこと。
- アンダインとの料理対決で、情熱的すぎて家が全焼してしまった時の大爆笑。
- サンズのグリルビーズでの語らいと、時折見せる真剣な眼差しに隠された意味を考えた
- ナプスタブルークと一緒に寝転んで、宇宙を感じながらただ静かに過ごしたなあ
- テミーむらに初めてたどり着き、「ワーイ!」「ホイ!」の嵐に困惑しながらも、学費を払うために必死でアイテムを売買したw
- メタトンEXとの華麗なるショーバトルで、視聴率を稼ぐために必死にポーズを決めたわ
- アズゴア戦で「たたかう」コマンドしか選べず、悲しい瞳に胸が張り裂けそうになった
- うざいイヌが、いつの間にかアイテム欄を埋め尽くしていた時の、怒りと愛情が混じった不思議な感情。
- 全てを知った後、タイトル画面で流れるあの曲を聴くだけで、言いようのない切なさと感動が込み上げてきた